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インターナショナルスクールの国際的で豊かな教育環境は、子どもの将来に無限の可能性をもたらします。
しかし日本の教育システムとは異なるインターナショナルスクールや国際教育に関しては、日本人には馴染みのない用語も多く、なかなかわかりづらいことも多いことでしょう。
そこで、インターナショナルスクールについてもっと詳しく知りたい方のために、国際教育を語る上で重要な用語を集め、解説してみました。
これからインターナショナルスクールをお探しの皆様が、ご家族やお子様にぴったりの学校を見つけられるためにお役に立てれば幸いです。
その所在する国の言語とは異なるカリキュラム、言語(多くの場合は英語)で、国際的な環境のもと国際的な教育を提供する学校。より国際的でグローバルな視点、特に国際バカロレアに代表されるようにグローバル・シチズンシップを重視する傾向にあり、カリキュラムは国際的な教育認定団体の認可を受けている。生徒、家族、職員の異動が比較的多く、卒業生の進学先は世界各国に広がる。学校としての規模や設置する学部、学年は学校ごとに異なる。組織としては営利、非営利、企業を母体とするもの、完全に独立した複数または個人、または保護者その他のボランティアのグループによって運営されるものがある。
IBO(国際バカロレア機構)は1968年、グローバル・シチズンシップと国際的視点を育み、学齢期の子どもを持つ家族にも国境を超えた異動の可能性が広がるようIBプログラムを開発した。初等教育プログラム(PYP)、中等教育プログラム(MYP)、IBディプロマ・プログラム(DP)に、近年IBキャリア関連プログラムが加えられた。
個別のプログラムについて更に詳しくは以下のとおり。
PYPプログラムは、探求を中心とした教科横断型カリキュラム。3歳から12歳までの生徒を対象とした生徒中心のカリキュラムを通し、概念理解を深める。
5年間のMYPプログラムでは、8つの科目グループ(言語習得、言葉と文学、個人と社会、理科、算数、芸術、体育、デザイン)を通し、深く幅広い理解と柔軟な発想を伸ばすプログラム。物事を論理的に分析し、様々な局面において既存の知識やスキルを応用する力や、生涯にわたり学びを追求する姿勢と、社会の一員として貢献するための責任感や倫理観を育む。MYPプログラムは、条件を満たした認定校において、連携関係にある複数の学校においての実施や、期間を短縮しての実施(2年間、3年間、4年間)も認められており、11歳から16歳までの生徒が対象。
ディプロマプログラムは、16歳から19歳までの生徒を対象とした難易度の高いプログラムであるとして、世界各国の大学からも高い評価を受けている。プログラムは言語、社会、実験科学、数学、視覚または舞台芸術の6つの科目群から構成されており、上級レベル(HL)もしくは標準レベル(SL)からバランスよく履修する。
外部機関によって審査される統一試験を経て、科目ごとの証明書(IB Certificate) もしくはIBディプロマの取得が可能。IBディプロマは、上記6つの科目群、4000字の「課題論文」(EE)、50時間の「創造性・活動・奉仕」(CAS)、「知の理論」(TOK)が必修で、それらの総合点が基準を満たした場合に授与される。
インターナショナルスクールのシステムにもっと詳しく、または日本の教育システムとの違いなどについてお知りになりたい方はこちらをご覧ください。
探求型学習とは生徒を中心とした学習。自由に伸び伸びと質問すること、意見の共有が推奨される環境のもとで生徒は探求を深め、教師はその探求の過程に寄り添い、サポートする。生徒には、現実的で身近な物事にまつわる問題や疑問点についての考察や問題解決が求められる。探求型学習においては、生徒が興味のある事柄について、批判的思考力を駆使しながら探求を重ねることで、より深い学びを実現することを目指す。
グローバルシチズン・イニシアティブ (TGCI) によると、教育用語としての「グローバルシチズン」とは、新たな世界の一員である自身の行動によってコミュニティの価値観や風土に影響を及ぼすことが出来ると自覚する人を意味する。グローバルシチズンになるためには、社会、政治、経済、環境などの世界的要因についての知識や理解とともに、批判的思考力と多元的、多角的な視点をもってグローバルな問題を解決することを学ぶことが必要である。
学業面だけでなく、社会性や心理面などにおける子どもの発達段階を重視した教育アプローチで、子どもが各自のすべて、つまり心も体も頭も駆使して、より意欲的に学習に取り組むことを目指す。幸福感や安心感、自己肯定感や自己認識を感じている子どもは、学業面でも大きく成長する。そして学びは、子どもが世界や自分自身についての理解を深め、夢や目標を形づくる。全人教育の教育アプローチにおいては、こうした心と頭の関係性を理解した上で、ふさわしい教え方や学習活動を実施する。
生徒の持っている個性全て(精神面、身体面、性格)に働きかけ、全人教育が発揮出来る教室環境を整える教育アプローチ。高い教育水準を維持しつつ、学習者にとって重要かつ興味深く、また個々の経験、関心、希望、願望に関連性が深いカリキュラムの構成と学習アプローチが不可欠である。ホリスティックな学習により生徒は、自らをとりまく世界の相互関連性の理解を深め、物事の原理や法則だけでなく、各自がどのように世界に貢献できるかを考えるようになる。こうして生徒には豊かな人間性や自己肯定感、社会に貢献する意識が育まれる。
生徒や学校コミュニティのための学校と保護者とのパートナーシップのことをNISではペアレント・パートナーと呼ぶ。協力的で温かい学校コミュニティをつくるために保護者が果たす役割は非常に大きい。ペアレント・パートナーとして保護者は、PTA活動として学校イベントや教室内の学習活動をサポートするだけでなく、保護者としての視点から学校についてや自身の経験を語ることで、これから入学する家族や、入学を検討中の家族をサポートする役割も果たしている。こうした活動を通しペアレント・パートナーは、多様で多文化な学校コミュニティに更に彩りを添える、NISには欠かせない存在となっている。
一定の基準を満たした教育機関に対して承認を与えること。国際教育を実施する教育機関を認可する国際教育認定機関は数団体あるが、特に日本国内のインターナショナルスクールを対象とした認定機関は主に以下である:
EALとは、英語以外の言語を第一言語または母語とする生徒のための英語教育を意味する教育用語。当該生徒は英語よりも他の言語において優れた、もしくは安定した言語能力を持っていることが前提である。従って、これらの生徒は英語を共通語とする学校環境において、追加言語としての英語の会話力、読解力、文章力、聴解力を発達させることを目指す。
各生徒の得意分野、ニーズ、スキル、興味などに合うようにカスタマイズした教育アプローチ。学習目標、学習内容、学習速度などを個々の生徒に合うようアレンジすること。生徒それぞれに特有のニーズに合わせて個々の学習体験を最適化することにより、各自の可能性を最大限に発揮することを目的とする。
子どもは潜在的に遊びへの意欲を持っているものであるから、遊びを学びの中に取り入れるという幼児教育のアプローチ。子どもは、探求、発見、他者との交流、問題解決などを通して自らを取りまく世界への理解を深めるようになる。遊びを通した学びにより、より長期的かつ効果的な学習成果が得られるとの調査結果がある。
この概念の根底にあるのは、多様な意見や文化を尊重し、地域及び国際的なコミュニティ、環境についての関心、私たちの世界にプラスの変化をもたらすべく行動を起こす意欲といった一連のスキルや行動、価値観である。国際的な視野を重視する学校では、生徒が世界をより広い文脈で捉えるよう導き、様々な教科にわたり批判的思考力を養うとともに、行動を起こし、省察し、疑問を持つことを推奨する。
教室内の生徒それぞれに公平な学習機会を提供する学習指導スタイル。子どもは全て等しく学ぶ権利があるが、それぞれに合った学習スタイルがあり、学習成果向上のためにはそれぞれに異なったアプローチが必要という考えに基づく。教師は、個々の学習者の学習スタイル、意欲、興味などに合わせて、学習内容、学習方法、そして学んだことを表現させる方法を調整する。こうした指導方法を実践している教室では、クラス全体として共通の学習目標(概念、スキルなど)はあるものの、探求の内容や対象、学習のプロセス、理解度の評価、学習環境などを個々の生徒に合わせて区分しているため、生徒は別々の学習活動を行っているかのようにも見受けられる。しかしながら、クラス全体として学習内容を共有する段階になると、生徒それぞれがカリキュラムの大本となる基本概念を習得していることがわかる。
学習とは子どもが自らをとりまく世界への理解を深め意味を構築することであるという教育理論に基づくカリキュラム。人間の脳は既存の知識に新たな知識を結びつけ、意味を構築することで新たな知識を構成していく。構成主義的カリキュラムにおいては、より実践的で生徒の体験に結びついた学習、すなわち、生徒にとって意味や興味のある分野への探求や、成果を振り返り、失敗から学び、成功の原因を考えることを通し、教師の指導のもとで各自が世界への理解を深め、発展させていくのである。
生徒の心身の健康とは、子どもが身体的かつ精神的に安全で、しっかりとした自我やアイデンティティを持ち、家庭、学校、コミュニティへの帰属意識や信頼感、安心感で満たされていること。子どもが心身ともに健康で満たされた状態にあることは、子どもの全人的な成長において不可欠である。子どもの心身の健康を重視し、指導や生徒の学習内容においても最優先されるのが良い学校の証とも言える。
そのためには、児童保護、行動規範、いじめ防止などに関わるポリシーなど、安全な学校環境を維持するための適切なポリシーの策定と実施が学校にとって不可欠である。また、必要に応じて生徒や保護者をサポートするために充実したカウンセリングプログラムや、生徒支援プログラムがなくてはならない。しかしそれ以上に、生徒の心身の健康が優先される教育環境では、その風土が自然と教室内で共有する文化やカリキュラムにも反映され、子どもは自身の存在や役割を理解するのに必要なスキルや人間性を習得していくのである。具体的には、健康的な生活習慣についての指導や、子どもの自己肯定感、他者や社会とのつながり、アイデンティティ、自己実現性についての指導がカリキュラムに組み込まれている。