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NIS Stories

みんなヒーローを待っている

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NISには、生徒による活発な社会貢献活動グループがいくつもあります。ナゴヤ・アクション・ヒーローズもそのひとつです。

ナゴヤ・アクション・ヒーローズは、名古屋国際学園の社会貢献活動を行う生徒のグループです。性暴力の被害者非難の風潮に立ち向かうインドの組織「ブランクノイズ」とともに、誰もが安心できるインクリージブな社会を目指して活動しています。

生徒の課外活動でありながら、近隣地域から国内の他地域のコミュニティにまで広がる彼らの活動は、生徒が変化をもたらす力を持っていることを示しています。誰もが居心地のよいコミュニティにするために活動する彼らに感謝と敬意を表します。

ジェンダーとセクシュアリティ、アイデンティティ、特権などをテーマに、学校コミュニティ内だけでなく、広く社会問題を提起するアクション・ヒーローズ。交差性と人権に基づいたアプローチにより、恥の概念に疑問を呈し、ジェンダーとセクシュアリティに対しての視点に一石を投じ、対話を促進することを目指しています。

ナゴヤ・アクション・ヒーローズの重要なテーマのひとつは、社会において見過ごされがちな問題への人々の認識や関心を高め、真正面から立ち向かうこと。ジェンダーやセクシュアリティにまつわる問題を議論するため、これまでに日本各地でのワークショップや会議に参加してきましたが、名古屋では、2018年に名古屋大学で初めてのワークショップを開催しています。このワークショップでは、アクションヒーローズの主要なテーマのひとつ、性的同意にまつわる問題とその重要性について語りました。この経験により、その後校内で行った性的同意についてのワークショップにおいて、他の生徒たちに向けてより明確なメッセージを発信することが出来ました。

また、京都産業大学での多様性とインクルージョンについての会議では、ジェンダーとセクシュアリティ、女性やLGBTQ+の人々が日本社会で直面する課題などをテーマに語りました。最近では、北九州市立大学からワークショップに招かれ、NISにおいて包括的性教育プログラムの導入を実現させた彼らの活動(詳細は記事後半をご参照ください)を紹介し、どのように新しいプログラムの導入を成功させたか、大学生や一般の方々を前にプレゼンテーションを行いました。このように学校外の人々への働きかけを通し、日本中にアクション・ヒーローズを広げるきっかけ作りが彼らの願いです。

 

サポートはアクションで示す

 

ナゴヤ・アクション・ヒーローズはNISで最も活動的な課外活動グループのひとつですが、彼らの活動はプレゼンテーションやワークショップだけに留まりません。顧問のバシージャ・トゥリカ教諭と共に、自らの信念を貫くためなら素早く行動を起こします。トランスジェンダーの人々への抑圧に対抗するためにインドで巻き起こった#StopTransBIll運動を応援するために36,120円もの募金を集めました。他には、高テストステロン症のために国際陸上連盟などから競技への参加を禁じられた南アフリカの女子陸上選手、キャスター・セメンヤ選手を応援する抗議活動にオンラインで参加しました。ポスターやソーシャルメディアを通じ、セメンヤ選手への処遇の不当性を訴えました。20194月には東京レインボープライド・パレードに参加しました。これは、日本のLGBT+コミュニティへのサポートを表明するため、一部のメンバーにとっては自身のアイデンティティを守るために大切なことでした。

 

NISにおける包括的性教育プログラム導入のための活動

 

しかし、間違いなく彼らがここNISにもたらした最大の功績のひとつは、包括的性教育プログラムの必要性を浮き彫りにしたことでしょう。当時NISには、思春期にまつわる限られた内容の性教育しかありませんでした。アクション・ヒーローズは、身体とアイデンティティについての教育は、学校生活だけでなくむしろ社会に出てからの人生に、より重要な影響をもたらすと固く信じています。これまで多くの学校の性教育は、生物学的な観点を中心に恐怖感を煽るものが一般的でした。包括的性教育は、幸福感を高めることと、自己表現に重点を置いています。異性間の性行動を前提としてきたこれまでの性教育に対し、アクション・ヒーローズが支持する性教育プログラムは多様な側面を持っています。顧問のバシージャ教諭とナゴヤ・アクション・ヒーローズは主張します-「若者が知るべきことを知らしめない事こそが、不安や恐怖感を生むことと信じています。恐怖感よりも幸福感を高めることを目指す性教育を支持すること、私たちの活動の中心はそこにあります。」

それを実現するため、彼らは全校的なアンケート結果と自らのNISでの体験をもとに、さらに世界各国でのプログラムの成功例も含めた提案書を学校管理職に対して提出しました。それを受けた学校管理職は担任教師に対し、授業で取り上げて欲しいテーマを提示しましたが、教師の多くは適切なトレーニング無しに性教育の授業を行うのに消極的でした。そこでアクション・ヒーローズは、自らワークショップを実施することで、どのような授業を求めているのかを示すことに成功しました。性的同意をテーマに、学年ごとに少しずつ内容を変えたワークショップは、彼らが理想とする授業の形を表していました。その成果が確認されたため、恐怖心を煽り、知識に頼るのではなく、幸福感を高めることに重点を置いた性教育を実施する教師がNISに雇用されることになりました。

 

アクション・ヒーローズのこれから


アクション・ヒーローズには、コミュニティ内で取り組んで行きたい課題が沢山あります。学校で行くキャンプなどの性別による部屋分けもそのひとつです。性別二元制を標準化するような方式を改め、寛容に全てのアイデンティティに合致するやり方を模索する意義があると考えています。名古屋レインボープライドや、NISにて開催された「つながりを広げようカンファレンス」といったイベントへの参加も希望しています。

ナゴヤ・アクション・ヒーローズは社会に根ざす権力構造にまつわるグローバルな問題に取り組み、そしていつでも、権力構造がコミュニティ内の様々なグループの人々にどのような影響を与えるのか、疑問を投げかけていきます。NISコミュニティがあらゆる背景や信念の生徒にとって真に安全な場所であるためにこのような活動は非常に重要です。思いやりのあるインクルーシブなコミュニティとしてのあり方を確立するうえで大きな力となる生徒中心のグループがあることに感謝しています。