いくつかの課題や改善点はあるものの、概ね成功だったといえるNISのオンライン授業。この経験から私たちが学び、得たものとは?
新型コロナウィルス感染症が世界中に蔓延し始める中、NISでは国内外の情報網を頼りに、自宅学習を余儀無くされる事態を想定しつつ準備を進めていました。幸いなことに既にソフト面での環境はほぼ整っていたこともあり、「NISオンライン授業」への移行は速やかに行われました。
3月の最初の3日間の準備期間中、教師陣はITスキルを磨き、チーム体制でカリキュラムをオンラインに移行する作業に取り組みました。決して容易ではない初めての試みでしたが、生徒たちのため、新たな形でその後2、3週間の学習機会が確保され、教師と、そしてクラスメイトとの繋がりを維持できることが励みになりました。
3月5日、誰もが緊張と期待の入り混じった気持ちでオンライン授業初日を迎えました。ログイン後、スクリーン越しとはいえ生徒たちと「再会」した瞬間、どれほど安堵したことでしょう。取材に訪れていた読売新聞がその瞬間を捉えた写真は、CNNやアメリカのABCニュース、化学雑誌「サイエンス」にも掲載されました。
この経験を通し、スタッフと保護者の関係性もより強く深いものになりました。家庭内で家族が支え合いながら学習する様子に教師が感謝の念を新たにした一方で、保護者もNISの教育や学びへのアプローチ、教師がどのような狙いでどう授業を計画しているかなどへの理解を深めました。
教師も生徒も日を追うごとに新しいルーティーンに馴染み、創造的になっていきました。学年度が終わり、夏休みを迎えるにあたり、この経験から学んだことを振り返ってみました。私たちは、物理的な空間としての学校の存在意義、そして、学習プロセス上及び子どもの社会・情緒的発達における、人と人との繋がりや触れ合いの重要性への認識をより深く、新たにしただけでなく、学習のツールとしてのテクノロジーの持つ革新的な力の真価をより明確に認識しました。
生徒が世界各国のエキスパート(専門家)とグーグルミートで繋がることが出来ること、オンラインでも生徒が共同作業や話し合いなどを通し、民主的な教室環境を構築できること、これらは生徒に公平な学習環境をもたらし、教室と世界の境界線を取り払ってしまう、テクノロジーが秘めた可能性を物語っています。この経験により私たちはさらに強く、賢くなりました。コロナの時代が終わるとき、私たちが得た教訓は、私たちの学習プログラム全てをより一層豊かなものにするでしょう。