日本でも海外でも、幼稚園、またはプリスクールといえば、3歳から6歳までの子どものための幼児教育を提供する場です。この年齢は、人間形成の土台となる社会性、情緒が発達し、認知機能や基礎的な学力を培う大切な時期にあたります。
日本では幼稚園などの就学前の幼児教育は義務教育ではありませんが、こうした就学前教育を受けている子どもの方が、小学校入学時の移行が円滑であり、将来的に必要な基礎学力の形成にも効果的だとの専門家の意見もあります。
幼児教育のオプションとしては、日本の幼稚園または保育園、もしくは、インターナショナルプリスクールという選択肢もあります。日本の幼稚園や保育園では、ルールやマナーなど、小学校に上がった際に必要となる基本的なソーシャルスキルを教わります。一方、インターナショナルプリスクールではそれよりも、革新的で近代的、かつ生徒ひとりひとりに寄り添った、より国際水準に近いプログラムを提供しています。
日本における幼児教育のオプションについて、それぞれのシステムの違いや特徴についてまとめてみました。
「出る杭は打たれる」というように、個人のニーズや利益よりも、集団が優先されるのは日本文化の特徴です。日本の歴史、そして島国という地理的状況に起因するこの集団主義は、安定した社会秩序をもたらし、文化、価値観、そして教育システムにも影響を及ぼしてきました。
日本の幼稚園は人間形成の基礎を培うことを目標としているため、学問的な学習にはあまり力を入れていないところが殆どです。子どもたちは遊びや友達や先生との触れ合いを通して社会性や情緒を発達させ、日本文化に根付いた道徳観、価値観や生活態度、集団生活のルールなどを身につけます。
一方、日本国内のインターナショナルプリスクールは、例えばフランスやアメリカなど、特定の国のカリキュラムに基づいた教育システム、もしくは国際バカロレア初等教育プログラム(PYP)など、国際的認可を受け、また認知度も高いカリキュラムに則っているケースがほとんどです。
こうした国際的なカリキュラムにおいては、「個」を重視し、ひとりひとりに寄り添う教育スタイルが一般的です。ひとりひとりの子どもは皆それぞれに合った学習するペースやスタイルがあることを理解した上で、それぞれのニーズに合わせた学習サポートを提供するのが、プリスクールの特徴です。自己表現だけでなく、グループワークや生徒同士の連携を通し、学びの共有も積極的に行われます。
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日本の幼稚園では、遊びや友達、先生との触れ合いを通し、健康な心と体を育て、人と関わる力を養うことを主な教育目標としています。集団としてのアイデンティティを身につけ、工作や絵、音楽などの活動や、植物や動物の世話などを通して創造性や感受性が育まれます。
幼稚園は小学校やそれ以降の教育の基礎を培うという位置付けにもあることから、卒園後は日本の教育システムへと進級し、ゆくゆくは日本の大学に進学するのが一般的です。学力面や言葉の壁からも、インターナショナルスクールへの進学は難しいかもしれません。
対してインターナショナルプリスクールでは、数や英語の概念の学習とともに、日本の幼稚園と同様に社会性や道徳観を培います。認知機能や運動能力の発達を促す学習活動にも力を入れています。更に自分が何を学ぶのか、誰と一緒に活動するのかなどの決定権は子ども自身にあります。幼い頃から自分の学習に責任を持つ姿勢が養われていくのです。
幼児期から英語に親しみ、各自の個性やニーズを尊重し、育む環境で育ってきたプリスクールの子どもたちは、学齢期を迎えた時、日本の学校に進学する道も、国際的なカリキュラムで学び、世界各国への大学進学への道が開けるインターナショナルスクールへの進学も、どちらも選択することができます。
英語に触れる機会がどれくらいあるのか、インターナショナルスクールと幼稚園の最大の違いはそこに尽きるでしょう。当然のことながら、子ども同士や教員とのコミュニケーションが全て日本語の日本の幼稚園で英語に触れる機会はありません。もちろん将来的にずっと日本の教育システムで学び続ける予定なら、幼児期にしっかりとした日本語の基礎を培うのは大切なことです。
一方インターナショナルプリスクールは、英語でのプログラムを提供し、国際感覚を育みます。子どもの人間形成の基礎を培う重要な幼児期に多言語環境で学ぶことは、認知機能の発達や学習能力の向上に効果的であると言われており、その後に続く学校生活にも役立つとされています。
英語に触れ、現代で生きる上で必要なスキルを身につけることで、子どもの将来に国際的な教育やキャリアへの道が開かれます。また、国際教育を続ける中で、英語以外の言語を習得する機会も生まれることでしょう。
両者の教育システムの違いやそれぞれのメリットをお分かりいただけたでしょうか。その上で、お子様の将来をどれだけ広げてあげたいのか、お子様にどのような道を歩んで欲しいのかをお考えいただき、ご家族やお子様に最適な幼児教育をお選びいただくことをおすすめします。