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「インターナショナルスクールに興味はあるけれど、英語が話せるようになる以外にどんなメリットがあるのか分からない」「どういう教育プログラムなのか全く想像がつかない」と思われる方は多いのではないでしょうか。では、実際にお子さんがインターナショナルスクールに通われている保護者の皆さんが、その決断に至った理由は何でしょうか?また、インターナショナルスクールでの教育をどのように感じ、どんなことに悩んでおられるのでしょうか?名古屋国際学園(NIS)の保護者の方に伺ってみました。
外国籍のご主人との間に小学部と高等部に2人のお子さんをお持ちのユキコさんは、お子さんが両方の国籍に誇りを持ちながら、国際的に活躍できる将来を築いて欲しいとの願いから、国際的な教育環境や方針を持つインターナショナルスクールを選択肢のひとつとして考えられたのがきっかけでした。学業だけでなく、精神面でのサポートが充実していることも重視しつつ、いくつかの学校やプリスクールなどを比較した結果、少人数クラスで、学校施設も充実しており、自然環境に恵まれていることなどからNISを選びました。教員やスタッフの対応に好印象を抱いたことも理由のひとつでしたが、実際に学校との間に信頼関係があることがお子さんの学習環境としても非常に良かったと考えていらっしゃるそうです。「子どもが安心して学べる環境には先生方との信頼関係が不可欠で、安心して学べる環境があったからこそ、学びに対する向上心を成長させることができました。」
また、多様性もインターナショナルスクールの特徴のひとつです。「様々な国籍を持つ生徒や先生方と各国の文化や習慣に触れることで視野が広がり、多角的なものの考え方を養うことができるようになりました。」ともおっしゃっています。
小学部と中等部に2人のお子さんをお持ちのマユさんは、上のお子さんが小学校低学年の時に米国から帰国されました。米国で通っていた学校で、教師が生徒を子ども扱いせず、1人の人として尊重する姿勢に共感し、その環境を維持できそうなインターナショナルスクールを魅力的に感じたそうです。NISを選択した理由は色々あリますが、IBプログラムのPYPを提供していること、海外の大学への進学実績、スクールバスがあること、さらに教師や生徒の国籍が多様であったことなどが、おもな理由だったそうです。また、入学前の面接時に、「生徒を一人の人として尊重する姿勢」を感じ取れた点も決断を後押ししたということです。
入学から数年経った今、特に現在中学生になったお子さんについては「グローバルな視点を持ち、プレゼンテーションなどを通じてしっかりと自分の意見を主張できるように成長しており、将来は国際社会において活躍できる人になってくれるだろうと感じています。」とおっしゃっています。また、主体性についても、NISの教育スタイルは「主体性を非常に重視するものであり、それは期待した通り」とおっしゃる一方で、「子どもの主体性を高める事は、子どもをNISに入れたからと言って満たされるほどに容易な事ではなく、これについては親の責任として向き合うべき課題」だとも感じていらっしゃるようです。お子さんをどのようにサポートすればいいのか、試行錯誤の繰り返しだそうですが、これもインターナショナルスクールで得られる経験のひとつとして、ポジティブに受け止めていらっしゃるそうです。
IBプログラムや主体性を理由にNISを選ばれたのは、ELC、小学部、中等部に4人のお子さんが通うタカコさんも同じです。タカコさんは、偶然海外で見学した学校でIBプログラムを知り、知識を教えるだけでなく、学びを通してどういう人間になっていくのか、という姿勢を育むIBの理念に強く感銘を受けたのだそうです。「受け身に知識を得るのではなく、創造性と自主性を持って学ぶスタイルを身につけ、しっかりと自分の考えを表現できるようになって欲しいと望んでいました。」とおっしゃるタカコさんはお子さんたちの様子をご覧になって、「教科書に書かれたことだけを学ぶのではなく、自分で実験を組み立てたり、テーマを持ってリサーチしたり、それらの結果を自分の表現でまとめてプレゼンテーションしたりすること、また、グループで議論やフィードバックを交換したり、と教師だけでなくクラスメイトからも影響を受けながら相互作用で学びを構築していく学習スタイルが素晴らしい」と感じられているようです。
そんな従来と異なる教育スタイルに大きな価値を見出した一方で、当然のことながら、日本人として、日本語や「日本人らしさ」も失って欲しくないという思いもありました。「簡単に両方は得られないことを受け止め、親として覚悟を決めなければならないと思いました」。自宅でできる限り日本語のサポートを続ける中で、4人のお子さんの学習スタイルや言語習得における異なる個性も明らかになってきました。「インターナショナルスクールの教育スタイルは素晴らしいけれど、誰にでも合うものではない」と感じたタカコさんご夫婦は、悩んだ末2人のお子さんの退学を決断されたそうです。「言語は文化や生活の一部です。環境において言葉や話し方がどういう意味を持つのか、その言語の文化的背景を理解したうえで言葉を話すのと、知らずに話すのでは、重みが違います。NISの文化や学校生活という環境のもと、コミュニケーションを通して言語体験を重ね、英語を習得することに意味があります。教科書から学ぶ英語や英会話とは違うのです。」とタカコさんがおっしゃるとおり、活きた文脈の中で場面に応じてふさわしい言葉、表現、態度で伝えることが出来なければ、円滑なコミュニケーションが成立しないこともあり得ます。裏を返せばそれは日本語の習得にも言えることで、複数の言語を話す子どもの場合、器用に言語の切り替えが出来る子も、どちらか一方が苦手な子もいます。お子さんの一番の理解者である保護者の方が、お子さんにとって最適な学習環境を見極めてあげる必要があると言えるでしょう。
インターナショナルスクールのメリットは英語が話せるようになることだと思われる方は多いことでしょう。ただ、興味深いことに、今回お話を伺った3人の保護者の方々はどなたも、英語力の習得を主な理由としてNISを選ばれたわけではないことにお気付きになったでしょうか。インターナショナルスクールを選択することは、学習言語が英語となることだけでなく、学び方、考え方、アイデンティティ、そして当然のことながら将来の進路にも影響を及ぼす重要な決断であり、今回お話をお聞きした皆さんもそれぞれに覚悟を持って取り組まれているようです。彼女たちに、これから学校を選択される方へのアドバイスをお伺いしました。
「インターナショナルスクールで学ぶことを単なるバイリンガル教育ととらえず、言語面と教育面の両方において、国際社会で通用するような人になって欲しいと思う方にNISはとても良い学校だと思います。」(マユさん)
「お互いがそれぞれの個性や長所を認め合いながら成長できる環境や、先生が生徒を対等な個人として扱ってくれるところなどは素晴らしいと思いますが、日本の環境と相容れないところもあります。しっかりとした日本語力を身につけ、日本の社会にも適応できるようにするためには、家庭なり、学校とは別にふさわしい環境を親が作ってあげないといけないと思います。」(タカコさん)
「国際バカロレアの教育プログラムでは、子どもたちがお互いを尊重し合いバランスの取れた人格形成を学ぶことができます。NISでは、将来国際社会で活躍するために挑戦していく力を学校と保護者で共に育むことができると思っています。」(ユキコさん)
お子さんの教育において何を重視されるのか、その価値観はご家庭によってさまざまでしょう。また、インターナショナルスクールを選択することで、将来、活躍の舞台が世界に広がっても、反対に日本の中での選択肢が狭まってしまうこともあるかも知れません。お子さんにとって何が正解なのか、答えを見つけるのは簡単なことではないでしょう。果たして正解はあるのか、あったとしてもそれが分かるのは数年後か、もしかしたらもっと先まで分からないかも知れません。
ここでご紹介した保護者の皆さんのお声が、その答えを探し始めるきっかけになれば幸いです。
NISでは、学校説明会の最後の質疑応答の際に、保護者のボランティアの皆さんにご参加いただき、保護者としての視点から直接お話しいただくお時間を設けています。ご参加ご希望の方は、こちらからお申し込みください。