民主主義って何だろう? 世界で、私たちの国で、そしてクラス内での民主主義ってどういうことだろう?それが、冬休みが明けた直後の第3クオーターで4年生が取り組んだテーマでした。まずは民主主義の歴史を学び、そして現在の世界情勢に目を向け、民主制を採用する国はどこか、それ以外にどのような政治体制があるのかを学んだのち、民主主義社会の基盤である国民の声が、歴史上、そして様々な国でどのように国政に反映され、どのように変化してきたかを学習しました。その上で更にこの単元では、生徒たちが実際に、自らと主張を同じくし、意思を反映してくれる代表者を選出するというプロセスを体現することになりました。
民主主義の仕組みを学ぶには、教室で実際に体験するのがいちばん。折しも4年生のお泊まり会を計画する時期にさしかかっていました。
まず取り掛かったのは、何を決めるのかを決めること。日にちは決まっていても、その他にも決めることがたくさん・・・スケジュールは?ゲームは?映画は?観るなら何を?それからもちろん食事も。何を食べる?どうやって手配する?どこで寝る? これらお泊まり会を実施する上で必須となる事項に加え、夜間の電子機器の使用についてのルールを定める必要もありました。あれもこれも決めなければならないし、一体誰がやるんだろう?
そこで誰がその任にあたるのかを決めるため、同じ意見を持つ生徒同士が集まり、「政党」を結成し、その中から党の代表者としてのプレジデント(実行委員長)と代議員の候補者を選出することになりました。選ばれた生徒はその後の意思決定の過程において、皆の意見が反映されるよう務めることになります。
まず、お泊まり会の計画を主導したい生徒は、プレジデント候補者として、有権者である他の4年生を前に自らの方針を簡潔に訴えました。演説を聞いた有権者は、自分の意見を最もよく代弁する候補者1人に投票します。この予備選挙で得票数の多かった2人が、最終的なプレジデント候補者かつ党首となりました。同じ候補者を支持する有権者が集まり2つの政党が結成され、プレジデント選挙の結果により一方が与党、もう一方が野党ということになります。
こうした活動の一方で生徒たちは、政党について、そして民意を背負い意思決定をするとはどういうことかを学ぶ必要がありました。議院内閣制と大統領制、それぞれの仕組みや権限などについて学習しました。日本の政治制度についても学習する中で、愛知県選出の衆議院議員、山尾志桜里氏についても調べました。
民主主義や政治の仕組みについて十分な知識を得たところで、いよいよ学習したことを実践に移す時です。2人のプレジデント候補が有権者の前で各々の展望を語り、質疑応答を行う候補者討論会が開催され、無記名投票の総選挙によりプレジデントが選出されました。
プレジデントが選出されると今度は、両党から代議員を選出し、「政府」つまり実行委員会の結成です。プレジデント選挙での得票数に応じた数の代議員が、与野党両党から選出されました。誰が選出されるかは、党内の投票で決まりました。
有権者、 代議員、そしてプレジデントー各生徒には各々果たすべき役割があります。例えば、有権者が代議員に要望を提起するためには様々な手段があります。最も有効な手段は何だろう?直接話すべきか、文書を提出するか、それともスピーチをするのがいいのだろうか? いっそのこともっと活動的に抗議運動を起こすか、請願書を提出しようか?生徒たちは有権者として自らの意見や懸念を表明するための様々な方法を学習しました。
また、どのような情報やデータがあれば、選出された代議員が有権者の意見を反映した正しい意思決定ができるのかも考えました。さらには、 権限、権力について、そしてそれらに影響力を持たせ、行使する方法も学ぶ必要がありました。そして、実際に自らの要望や意見が採用されたか否かを振り返り、その理由を考察し、また、権力構造についても考えました。意思決定の際、有権者と政府のどちらに主権があるのでしょうか? 以下は生徒の意見です。
生徒たちの努力が実り、4年生の民主主義は守られました。その結果、4年生は楽しいお泊まり会を成功させることができました。